東日本大震災とコロナウイルス

 国が主導する東日本大震災被災地復興プログラムの広報の仕事に携わってきた私にとって最近、考えさせられることがあった。大震災から10年目ということで、このプログラム支援者がマスコミに取り上げられる機会があったが、その切り口はどれも「不屈の精神で復活!」。しかし、それはいわゆる「感動ポルノ」だ。実際にはあの時以来前へ進めず、止まった時間を過ごしている被災者の方は多い。被災地の物理的な復興は進んでも、心の傷は元に戻らない。マスコミが報道すべきは、こうした、変われない方々の存在ではなかろうか。
 一方、昨年からのコロナ禍では、リモートワークに代表される「ニュー・スタンダード」が多く取沙汰されてきた。我々も、それらをいち早く取り入れて試行錯誤してきた。しかし、それでは完結できない業務も多く、そのスタイル自体に迎合できないお客様も多くいらっしゃる。
 私たちは、まだまだ続くコロナ禍にあって、こうした変化を望まないお客様の気持ちにも寄り添いたいと考えている。これまで培ってきたコミュニケーション技術を活かした制作物はもちろん、お客様の実情に合った制作プロセスの提案も含め、どんなニーズにも応えられる業務を目指している。

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